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活動実績

わたしたちが、つくってきた時間。

NPO法人ジョナサンは、平成29年の設立以来、音楽と遊びを入口にした学びの場をつくってきました。

大切にしてきたのは、上手にできることではありません。初めて楽器に触れた日の、思ったより大きな音に驚いた顔。ボードゲームの盤面を前に、しばらく黙って考え込む横顔。自分の音と誰かの音が重なった瞬間の、少し照れたような笑顔。そうした一つひとつの時間が、人を少しずつ前へ進めていくと考えているからです。

ここでは、これまでに実施してきた教室、イベント、そして自分たちで開発したボードゲームをご紹介します。どの活動にも共通しているのは、体験した人が「自分にもできるかもしれない」と思える瞬間を、どうつくるかという問いです。

そして、そこで得たものを、次の誰かへ手渡していくこと。それが、わたしたちの活動のかたちです。

音育・知育教室

音や遊びを通じて、感じる力、考える力を育てる教室です。年齢や経験を問わず参加できるよう設計しています。

はじめての楽器体験教室

音を出す。ただそれだけで、世界は少し広がる。

小学生・中学生を対象に、ギター、ベース、ドラムなどを実際に手にとって体験できる初心者向けの音楽教室です。経験の有無を問わず、まず音を出すところから始めます。

詳しい内容

楽器に触れたことのない子どもにとって、最初の一歩はとても高く感じられます。楽器店に並ぶ機材はどれも高価に見え、教則本を開けば知らない記号が並び、自分には向いていないのかもしれないと、始める前に諦めてしまう。この教室は、その最初の壁を取り払うために始めました。

用意するのはこちらです。参加する方は、手ぶらで来ていただければ構いません。ギター、ベース、ドラムを実際に手にとり、まずは音を出してみるところから始めます。正しい構え方も、きれいな音の出し方も、後からで構いません。押さえた弦が思ったより硬いこと、叩いた太鼓の音が思ったより大きいこと。その驚きこそが、最初に味わってほしい体験だと考えています。

個人での体験を終えた後は、参加者同士で簡単な合奏に挑戦します。一人ひとりが出せる音はまだ限られていても、それが重なると、確かに一つの音楽になる。自分の音が誰かの音と噛み合った瞬間、参加者の表情が変わります。この教室でいちばん見たいのは、その瞬間の顔です。

この活動に込めた目的

上手に演奏することではなく、音を出す楽しさ、自分で表現する楽しさを知ってもらうこと。そして、一人ではできないことが仲間となら形になるという経験を持ち帰ってもらうことを目的としています。

音とリズムの親子ワークショップ

楽器がなくても、音楽は始められます。

子どもと保護者が一緒に参加できる、音育をテーマにした体験型の教室です。手拍子や身近な道具を使い、音の高低や強弱、テンポを遊びながら体験します。

詳しい内容

音育とは、音を聴き分け、感じ取り、自分でも音を出してみる力を育てることです。特別な楽器も、楽譜を読む力も必要ありません。

この教室では、手拍子、身のまわりにある道具、簡単な打楽器などを使い、音の高さ、大きさ、速さ、繰り返しの形といった音楽の土台を、遊びの中で体験してもらいます。同じ手拍子でも、速くすれば急いだ感じになり、遅くすれば落ち着いた感じになる。強く叩けば力強く、弱く叩けばやさしくなる。理屈で教えるのではなく、やってみて、聴いて、違いに気づいてもらう進め方をとっています。

保護者の方にも、見学ではなく一緒に参加していただきます。親子で向かい合ってリズムを返し合う時間は、言葉のやりとりとは少し違う会話になります。子どもが出したリズムを大人が真似る。今度は大人が出したリズムに子どもが応える。うまくいかなくて笑い合う。そうした時間そのものが、この教室の中身です。

この活動に込めた目的

音楽の経験がなくても気軽に参加でき、親子でやりとりしながら音に親しめる場をつくること。そして教室が終わった後も、家庭の中で音やリズムを楽しんでもらうことを目指しています。

考える力を育てるボードゲーム教室

その一手を選んだ理由を、言葉にしてみる。

小学生を中心に、ボードゲームを教材として活用した知育教室です。遊ぶだけで終わらせず、なぜその手を選んだのかを参加者同士で話し合う時間を設けています。

詳しい内容

ボードゲームは、遊びながら考える力を育てるのに適した教材です。勝つためには先を読み、相手の狙いを推し量り、手元の条件の中で最善を選ばなければなりません。しかも、それを楽しみながら自然に行うことになります。

この教室では、ゲームを一通り遊んだ後に、必ず振り返りの時間を設けます。なぜその手を選んだのか。相手は何を考えていたと思うか。ほかにどんなやり方があっただろうか。こうした問いを参加者同士で出し合い、言葉にしてもらいます。

このとき大切にしているのは、正解を教えないことです。うまくいかなかった手にも、その子なりの理由があります。それを否定するのではなく、まず言葉にしてもらう。そのうえで、ほかの参加者がどう考えていたかを聞く。自分と違う考え方があると知ることが、次の一手を変えていきます。

負けた子が、次の回で明らかに違う打ち方をする。その変化を見られることが、この教室を続けている理由です。

この活動に込めた目的

筋道を立てて考える力、状況を見て判断する力、自分の考えを人に伝える力、そして相手の立場を想像する力を、楽しみながら養うことを目的としています。

音楽・交流イベント

年齢や立場を越えて人が集まり、表現したり、一緒に考えたりする場をつくっています。

ジュニア・ミュージックフェス

うまい下手より、前に立ったこと。

小学生から高校生までを対象とした音楽イベントです。楽器の経験や技術の高さを問わず、人前で自分を表現する経験そのものを大切にしています。

詳しい内容

人前で演奏することは、大人でも緊張します。まして、まだ始めたばかりの子どもにとっては、相当な勇気が必要です。このイベントは、その勇気を出す機会を用意するために企画しました。

出演にあたって、技術の水準は問いません。バンドでの演奏、一人での楽器演奏、歌。それぞれが自分に合った方法で参加します。演奏の完成度を競う場ではないため、審査も順位付けも行いません。最後まで演奏しきったこと自体を、その日の成果として扱います。

もう一つの狙いは、出会いの場をつくることです。音楽を続けている子どもは、学校の中では少数派になりがちです。同じ学年に話の合う相手がいないまま、一人で練習している子は少なくありません。このイベントでは、学校も年齢も違う参加者が同じ場所に集まります。演奏の合間に交わされる、使っている機材の話、練習している曲の話。そうした会話から続く関係が生まれることを期待しています。

この活動に込めた目的

技術の高さではなく、人前で自分を表現したという経験を持ち帰ってもらうこと。そして、学校や年齢を越えて音楽を楽しむ仲間と出会える場をつくることを目的としています。

ファミリー・ボードゲームDAY

年齢も学校も関係なく、同じ卓を囲みます。

子どもから大人まで一緒に参加できる、地域交流型のボードゲームイベントです。初対面同士でも自然に会話が生まれるよう、遊ぶゲームを選んでいます。

詳しい内容

地域の中で、世代の違う人同士が言葉を交わす機会は年々減っています。声をかけるきっかけがない、共通の話題がない、というのがその理由です。このイベントは、そのきっかけを用意する試みです。

ボードゲームには、初対面の相手とでも会話が生まれるという特性があります。同じ盤面を見て、同じ状況について考えるため、自己紹介をしなくても話すことがあるからです。この点を活かすため、力を合わせて課題に挑む協力型、互いの発言から答えを探る推理型、言葉のやりとりが中心になるコミュニケーション型など、性格の異なるゲームを取り揃えています。

年齢や立場は、卓に着いた時点でいったん脇に置かれます。小学生が大人に助言することもあれば、その逆もあります。一緒に考え、一緒に笑い、勝ち負けが決まった後には自然と感想を言い合う。その時間の積み重ねが、地域の中の顔見知りを増やしていきます。

この活動に込めた目的

年齢や立場に関係なく、一つのテーブルを囲んで一緒に考え、一緒に笑う時間をつくること。世代を越えた交流の機会を地域の中に用意することを目的としています。

MUSIC × GAME 体験イベント

好きなことは、一つに決めなくていい。

音楽とボードゲームという、ジョナサンの二つの活動を組み合わせた体験イベントです。前半と後半でまったく違う体験をしてもらいます。

詳しい内容

前半は、音やリズムを使った体験の時間です。後半は、会話や思考を中心にしたボードゲームの時間です。この二つを、一日の中で続けて体験してもらいます。

一見すると、脈絡のない組み合わせに見えるかもしれません。しかし、この構成には意図があります。人は自分の得意分野を、案外早い段階で決めてしまいます。音楽が好きな子は音楽の場にだけ行き、考えることが好きな子はゲームの場にだけ行く。その結果、まだ触れていない領域に自分の適性があっても、気づかないまま過ぎてしまいます。

実際、このイベントでは想定していなかった反応が起こります。音楽が目当てで来た子が、後半のボードゲームで思いがけず夢中になる。ゲームが目当てで来た子が、前半のリズム遊びで意外な素質を見せる。その驚きこそが、このイベントを続けている理由です。

この活動に込めた目的

異なる分野の体験を一つの場で味わうことで、それまで知らなかった興味や得意分野と出会うきっかけを提供すること。そして、好きなことを一つに決める必要はないという考え方を伝えることを目的としています。

ボードゲーム開発

既存のゲームを使うだけでなく、伝えたい体験から逆算してオリジナルのボードゲームを開発しています。研究と改良を重ね、教室やイベント、企業の研修などで活用しています。

TSUBASA

主題 協力・挑戦・成長

一人では届かない場所へ、みんなで。

参加者がそれぞれ違う能力と情報を持ち、力を合わせて一つの目標を達成する協力型のオリジナルボードゲームです。

詳しい内容

このゲームでは、参加者一人ひとりに異なる役割が割り当てられます。ある人は特定の場面でしか力を発揮できず、別の人は限られた情報しか持っていません。そのため、誰か一人が優れていても課題は解決できない構造になっています。

進行の中心になるのは、情報の共有と役割の分担です。自分が持っている情報を誰に伝えるべきか。今の場面で動くべきなのは誰か。手詰まりになったとき、参加者は自然と話し合いを始めます。この話し合いの時間こそが、このゲームの本体です。

意図して組み込んでいるのは、自分にできないことを、できる人に任せるという体験です。子どもは自分でやり遂げることを求められる場面が多く、人に頼ることを弱さと感じてしまうことがあります。このゲームでは、頼ることが最善手になる場面が繰り返し訪れます。そして、頼られた側もまた、自分の持ち場で応える必要があります。

名称の TSUBASA は、法人の理念「一人ひとりの可能性に、翼を。」から取りました。学んだことを次の人へ手渡すという考え方を、最も直接に形にしたゲームです。

開発に込めた目的

自分にできないことを誰かに任せること、自分にできることで誰かを助けること。その両方の大切さを、遊びの中で体験してもらうことを目的として開発しました。

OTO LINK

主題 音・記憶・伝達

楽譜は使いません。音だけで伝えます。

音、リズム、言葉を使って参加者同士で情報を伝え合う、音育型のオリジナルボードゲームです。音楽の経験は必要ありません。

詳しい内容

このゲームでは、カードに示されたリズムを再現したり、聴こえた音から思い浮かべたものを別の参加者へ伝えたりしながら進行します。楽譜は使いません。読めなくても遊べるよう設計しています。

面白いのは、同じ音を聴いても、人によって思い浮かべるものが違うという点です。高く短い音を鳥と表現する人もいれば、はねると表現する人もいます。その違いが、そのままゲームの難所になります。伝える側は、相手にどう言えば届くかを考えなければなりません。

このゲームで働くのは、聴き分ける力、思い浮かべたものを形にする力、覚えておく力、そして相手に届く言い方を選ぶ力です。音楽の教室という形をとらずに、音を扱う力を育てられることが、このゲームの利点です。

開発に込めた目的

音楽の経験の有無にかかわらず楽しめる形で、聴く力、表現する力、記憶する力、伝える力を遊びながら育てることを目的として開発しました。

KAKEHASHI

主題 伝える・理解する・つながる

正解より、伝わり方。

自分だけが持つ情報を、言葉や図形やヒントを使って他の参加者へ伝え、全員で課題を解決していくコミュニケーション型のオリジナルボードゲームです。

詳しい内容

このゲームの中心にあるのは、答えを当てることではありません。相手にどう伝えれば理解してもらえるか、相手は何を伝えようとしているのかを考えることです。

同じ内容でも、言葉で説明したほうが早い場面と、図で示したほうが早い場面があります。細かく説明しすぎて相手を混乱させることもあれば、省略しすぎて意図が届かないこともあります。ゲームが進むにつれ、参加者は自分の伝え方の癖に気づいていきます。

この性質から、KAKEHASHI は子ども向けの知育にとどまらず、企業の研修や、組織の中で人の関係をつくる場面にも応用できます。役職や在籍年数の異なる人が同じ卓に着き、伝わらないという経験を共有することには、研修としての意味があります。現在も、そうした用途に向けた改良と研究を続けています。

開発に込めた目的

正解にたどり着くことよりも、伝え方と受け取り方そのものを考える経験を提供すること。子どもの知育から大人の学びまで、幅広く使えるゲームとして開発・研究しています。

その先は、受け取った人が決めていい。

ここに挙げた活動は、どれも大きな規模のものではありません。一度の教室に来る人数も、一度のイベントに集まる人数も限られています。

それでも続けているのは、体験というものが、その場で終わらないと知っているからです。初めて音を出した日のことを覚えている人がいます。あの日のボードゲームで、初めて自分の考えを人に説明できたという人がいます。そうした記憶が、何年か経ってから、その人の選択を少し変えることがあります。

わたしたちにできるのは、そのきっかけをつくるところまでです。その先をどう飛ぶかは、受け取った人が決めることです。

一人ひとりの可能性に、翼を。

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